「これが確実システムだ」



塾員 近藤裕司

1.はじめに

かつて私が塾生の時に、「慶大愛知クラスの活用法」という題目で、トータルヴィジョンからの各活動(例会、学習会等)の位置付け 及び慶友会活動の本質を論じてみた。これはその当時は結構反響があった。しかし、あまりにも「卒業」ということにこだわりすぎたことに 気がついた。これでは慶大通信教育部の社会的地位は向上しない、ということを悟ったのである。

9月に三田会の講演会に出席した際に全国通信三田会の加納会長より”EQ”(こころの知能指数)の高い人間がこれからは求められる、 とのお話があり、私自身勉強不足を感じた。つまり私は慶大愛知クラスのコンセプトを「卒業」と解していたのでは会員(とくに塾員)の 質の向上はありえないし、慶大通信教育部の社会的地位の向上はないと感じたのである。そこで愛知クラスの活動の本旨である「独立自尊の 人格の育成」を「EQ能力の高い人材の育成」すなわち「プラス思考のできる人間」「学問を実社会に活用できる人間」の育成と解すること によって、前掲の二つの問題を解決してみたいと思う。

”どうしてEQなのか”日本経済は今転換期にあり、産業界において日本的経営の弱さが取り沙汰され、実力主義(年俸制の導入など)が 大手企業を中心に導入されている。私の会社でも「全員創業、全員社長」ということがスローガンとして掲げられ、1円の利益を上げるため には何をなすべきかという教育がなされている。「サラリーマン」ではなく「ビジネスマン」である。つまり自立能力が要求されているので ある。つまり日頃リポートや科目試験で鍛えた思考力を実社会で実践し、それが各人のそれぞれの環境(職場、コミュニティ、家庭など)で 評価されれば、先ほどの二つの問題は解決するだろうと思うのである。

そこで私は、会員ひとりひとりにそれぞれの目的、目標をもってもらい、それに納期を加えることによって、それぞれの人たちが確実に卒 業を成し遂げ、EQ能力を高めることができるシステムの構築が必要だと考え、「確実卒業システム」を作り出すことを決心したのである。 このシステムは「やる気があれば、誰でも卒業できる」というもので、目標の一つに「卒業」を加えてもらい、その中間に小さな目標を立て、 それを少しずつ達成していくことによって卒業にたどりつき、やがては自分自身の目標をも達成できるのではないかと確信している。このシ ステムが完成した時、私のビジネスの目的である「社会に貢献する」のうちの第一目標は達成できたものと信じる。

2.卒業に必要なファクター

@やる気の持続

卒業するために必要なものの一つにやる気の持続がある。

やる気の定義には2通りの考え方があって、(@)気持ちは卒業するんだ、と意気込んでいるが、実際には何の行動も起こしていない状態( 想像説)、(A)具体的に何のために大学で学び、卒業するためには年間でいくつくらいのペースで学習していかなければならないか、という 具体的なビジョン・目標が設定されていて、その達成に向けて実際に行動を起こしている状態(行動説)、という2つの意見がある。私は後 者の行動説を取りたい。なぜなら、前者の説では集中力も生まれないし、前向きな行動ができないと考えるからである。

この行動説の言う「やる気」とは、具体的な単位取得目標、納期が設定されていて、その上、実際に納期内に目標を達成しようとするアク ションがある状態を言う。

しかしこの納期を設定するためにはいろいろなノウハウがいるし、自分が出来もしない納期を設定してしまってはかえって学習意欲をなく してしまうので、この納期設定には慎重を期してもらいたい。入会1年目の皆さんにはさまざまなノウハウを習得してから納期設定するのが 良く(最低1年はかかる)、入会して何年も経つ人は即納期を決めてもらいたいが、具体的に何年で卒業できるか分からないと思うので、そ の目標・納期は後で修正しても構わない。

自分でまず目標・納期を設定し、それを確実にクリアするためには、@技術(リポートの書き方)、A情報、B精神(スランプの克服、仲 間、思考力)、C環境(学習時間の捻出、勉強と仕事の両立、体力など)といったノウハウが必要になる。

A技術面

具体的にリポートや科目試験をこなしていく中で、リポートの書き方が分からないでは卒業できない。’リポートはこう書くんだ’’参考 文献はこの科目で○冊必要だ’’この科目は単位を取るのに試験を○回受ける必要がある’’この科目はスクーリングをうまく利用するとい い’’この先生の卒論は厳しい’といった様々な情報を仕入れ、自分なりにアレンジしていくことによって、自分なりの学習法を確立 する(コツをつかむ)のが、卒業への第二要件としてあげられる。そのためには慶友会活動は必要不可欠である。

B精神面

技術だけ身につけてもやる気の持続=卒業へのアクセスは不可能である。スランプを克服してみたり、忙しい中で勉強時間を捻出したりす るには、どうしても仲間(よき友、よき師)が必要で、いろいろな世代・職業を持つ人たちとの交流によって、「頑張るぞ」とか「絶対に卒 業してやるんだ」という勇気が湧いてきたり、それ以上に「〜のように考えればいいんだ」というプラス思考が身につく。

このプラス思考こそが卒業には必要なのである。つまり’この問題では〜が問われている’とか’この場面では〜の問題が対立していて、 この対立を解消するためには○○が必要なんだ’という冷静な分析力が人との交流によって身につくのではないかと思う。これを身につけれ ばどんな難問・奇問も怖くないと信じる。

C環境面

この点に関しては、@時間A金銭B体力の3つに集約される。仕事と勉強の両立は非常に難しく、入学1年目で半分の塾生が脱落していく。 ’忙しい中でどういう風に時間を捻出していくか’’スクーリングではどのくらいお金がかかるのか’'参考文献代としてどのくらい必要なの か’’ハードスケジュールに耐えられる体力をどのように養えばいいのか’といったあたりの情報を慶友会の会合に出席して情報収集してい くことが必要になる。

D総括

このように卒業するためには、@やる気の持続ー目標・納期・アクションA技術B情報C精神D環境といった情報が必要で、自分自身で工夫 していくオリジナリティが要求される。このオリジナリティこそが、大学で学ぶべきことであり、慶友会の会合は上記の5つのファクターを身 につけるところだけではなく、いかにしてオリジナリティを身につけていくかということを考えさせてくれるところでもある。このオリジナリ ティは卒業してからもいろいろな点において有益なので、ただ単位を取って卒業するレベルに終始せず、実社会に役立つ勉強、すなわち「実学」 を心がけてほしい。

そして慶大愛知クラスの各会合もただ単に卒業のための情報提供をする会にとどまらず、実学を身につけることの出来るものであって欲しい と思う。

3.愛知クラスの諸活動


前回述べた様に、卒業するために必要なファクターとして、目的、目標、アクションがあり、それに加えて技術、情報、精神、環境があり、 それらを習得する場として諸会合が設けられている。そこで今回は各論として、愛知クラスの諸活動について触れていきたいと思う。

愛知クラスの諸活動は、大きく分けると@例会、A講演会、Bリクレーション、の3つに分けられる。この中に学部別学習会や、科目試験終 了後のイベント、スクーリング中のイベントも含まれる。

@例会

どこの慶友会も一番大事にしている会合で、もちろん愛知クラスも例外ではない。新入会員にまず最初に来てもらいたい会合で、学習情報の 交換や、勉強会(学部別学習会)、会員同志の交流などが行われる場である。主に情報交換が活発に行われるので、学習の進まない人はこの会合 には必ず出席してほしい。勉強の進んでいるいる人も結構出席しているので、いいアドバイスが受けられるし、会報発送作業を通じて会員間のコ ミュニケーションが活発なので、友達も出来やすい。ある程度慣れてきたら、学部別学習会の方に目を向け、様々なノウハウや情報を吸収してい ってほしい。卒業生をゲストに呼んでエピソードを伺う場合もあるので、ぜひ出席してほしい。出席者層も老若男女バランスが取れている感があ るので、友人はわりと楽にできるであろう。例会の中では、「スクーリング特集」で、スクーリングに関する諸情報を提供しているので、うまく 活用してほしいと思う。とくに普通課程の皆さんは例会に出て、一日も早く「まずは1科目単位を取る」のを目標にして活動してほしい。

A講演会

大学の先生に直接お話をしていただく場で、教員ー塾生のコミュニケーションの場でもあるし、ミニスクーリングの場でもあるし、会員同志 のコミュニケーションの場でもある。とくに卒業論文のテーマ選定や、指導教授の選定に大きな威力を発揮する。回数としては、6〜7回ぐらい 行っていて、(1)慶友会主催の講演会(年3回)、(2)科目試験終了後のミニ講演会(年3〜4回)行っている。いろいろな先生が見えるの で、必要に応じて参加すればいい。ビジネスの勉強にも当然のことながら役に立つ。うちの場合、質問が比較的多いので、刺激を受けることが多 い。新入会員の方で、学士入学の人たちは1年目から参加し、卒論対策を考えるべきだし、勉強したくてたまらない人には最高の会合だと思う。 地元だけでなく、他慶友会主催の講演会にもどんどん参加しよう(うちは、そういう人が本当に多い)。旅行気分で行くと勉強が面白くなる(私 自身そうでした)。

Bリクレーション

懇親会や忘年会、スクーリング中のコンパ、その他(スキーツアー、旅行、ボーリング大会など)がうちのリクレーション行事にあたる。例会 や講演会に出にくい方、この様な人には向いていると思う。その他、気分転換の場でもあるし、ビジネス面では異業種交流の場にもなるので、活 用すべき会合である。若い人たちにとっても、異性の友人の出会いの場になる(実際のところ、こういう会合で知り合って見事結婚が決まったカ ップルもいる)。

4.諸活動の融合システム


@慶友会活動の本質

慶友会とは、同じ通信教育で学ぶ学生がお互いに助け合いながら卒業を目指し、切磋琢磨していく団体である。では、慶友会活動はどうあるべ きか。

考えられる回答は2つある。(1)とにかく卒業生を出すことに意義がある。(2)お互いの交流を通して、人格形成(人間性の向上=独立自 尊の体得)を図ることに意義がある。この問題は慶友会組織論との関連で考えていった方がより分かりやすい。

私が全国の慶友会を見てきた限り、慶友会の組織上のポジションは次のように分類される。(ア)サークル型(関東の慶友会に多い)(イ)フ ァミリー型(地方の慶友会の殆どがそうである)(ウ)企業型(このタイプはおそらく愛知クラスぐらい)の3つに分かれる。(1)と回答すれば 組織はサークル型になる。理由は見た目の雰囲気で優秀な人材(新入会員)を獲得し、会の内容はどうあれ、卒業していく人は卒業していくと冷め た対応をしていくと考えられるからである。このタイプの慶友会は、情報面には力を入れているはずである。逆に(2)と回答すれば、組織ファミ リー型になる。理由は情報はないし、人を集めるのが大変だからアットホームな雰囲気をかもし出すことによって、人の定着を図る狙いがあると考 えられるからである。このタイプの慶友会は、近隣の慶友会とのつながりが強いはずである。では愛知クラスはというと、(1)+(2)である。 いくら卒業生がたくさん出ても、各卒業生の質が悪ければ意味がないし、交流ばかりに力を入れてしまうと逆に卒業生を落としかねない。そこで考 えたのが、実学の精神を取り入れ、学習にビジネスのやり方を導入することによって、わが義塾のモットーである「独立自尊」を体得してもらうや り方である。これが確実卒業システムの基本コンセプトである。そのために各活動を融合し「全体思考、プラス思考、オリジナリティ」を身につけ てもらえるようなシステム作りが必要だと感じているのである。

A思考力養成=諸活動を融合させること

このタイトル、一見うそっぽく感じられるが、実際は真実なのである。なぜかというと愛知クラスの場合は、例会に出てくるメンバーと講演会に 出てくるメンバーは大きく異なる。すなわち例会は新入会員が中心だが、講演会はベテラン会員が中心で、当然考え方も違う。リクレーションに出て くるメンバーもやはり層が違う。このバラエティが思考力を養成する源になる。つまり、例会、講演会、リクレーションと参加し、参加者の人たちと 話をしたりしていると、あらゆる考え方があることに気がつくようになり、いろいろな角度から思考するということができるようになる。これが「全 体思考」であり、この全体思考を身につけていくと、リポートの評価はアップするし、卒業できる確率は高くなる。実際に卒業している人達は、どん な形にせよ、愛知クラスの諸会合に参加し、交流をしてきた人達ばかりである。情報さえもらえれば卒業できるなんて甘いものではない。オリジナリ ティを身につけるためには、いろいろな会合に参加し、交流することによって、様々な思考法があるのだということを認識しなければならない。

Bシステム構築がやる気を持続させる

愛知クラスの諸活動をシステム化することによって、全体思考、オリジナリティが身につくが、この他に「やる気を持続させる」機能を持つ。なぜ かというと、卒業するためにどんな活用すればいいのかという問題点を、システム構築により解消し、先の先が見えてくるからである。先が見えてく れば、必然的にやる気も出てくるし、やる気があれば前向きな行動が生まれてくる(この点については2.卒業に必要なファクターを参照してもらい たい)。前向きな行動が生まれれば、当然のことながら「プラス思考」は身につくと解する。そしてこのプラス思考が身につけば、卒業できる確率が 上がるばかりでなく、周りの、貴方達を見る目(評価)は良くなる。そうすれば、必然的に慶応の通信教育部や愛知クラスの評価は上がると見ている。 もっとこのことに早く気がつくべきだった、と後悔している毎日を過ごしている。この確実卒業システムはただ単に卒業率を高めるだけでなく、卒業 生の質をも高める点に最大の利点がある。社会人再教育の気運が高まる現代においては、各個人のニーズにマッチしたものとしてこの確実卒業システ ムをとらえることができる。

Bトータルのノウハウ習得に必要なこと

入学から卒業に至るまでには、いろいろな内容(リポート、科目試験、スクーリング、卒業論文等)をクリアしなければならないが、それら1つ1 つをクリアするために必要なこととして、以下の4つの意識を提言する。

(ア)目的意識・・・何のために大学で学び、卒業するためには何をすべきか。

(イ)問題意識・・・なぜ単位が取れないのか。なぜ成績が伸びないのか。なぜ予定通りにいかないのか。

(ウ)改革意識・・・予定通りにいかないのならば、もう少し楽なスケジュールにしていこう。単位がなかなか取れないならば、慶友会活動に参加            し、勉強法を改革していく。

(エ)コスト意識・・・お金がかかるからといって会の活動に参加しないのではなく、費用対効果の問題で、参加する頻度を増やせば取得単位数は             それに応じて増えると認識する。

この4つの意識を常に頭の中にたたき込んでおけば、ある程度の進歩を得ることができると思う。

D「よき友、よき師」を得る必要性

よき友、よき師を得る効果として、(1)やる気を持続できる(2)情報を得ることができる(3)いろいろな思考法を身につけることができる、の 3つを挙げることができる。ただ問題は「よき友、よき師」は何かである。この点については、楽しめる相手ををいう場合もあるし、自分自身を向上さ せてくれる相手をいう場合もあると思う。でも本当に「よき友、よき師」を求めるのであれば、相手が話しかけるのを待っていてはだめである。自分から 行動を起こし、前述の4つの意識にしたがって、いろいろ経験しないといけない。そうすれば、自己啓発の面からも、学習の面からも、自分自身を向上 させることができるようになると考えるのである。失敗を恐れていては何も成功は生まれない。数多くの失敗を分析し、改善するところから成功の第一 歩が始まるのである。

5.まとめ


今まで述べてきた、この確実卒業システムの考え方をもう一度確認する意味で、要約してみると次のようになる。すなわち、確実卒業システムとは、 アメリカで大ヒットした、あのEQ(日本でも関連書籍が爆発的に売れている)を教育するためのプログラムで、慶友会活動を通じてEQをレベルアップし ようとするものである。そしてその付随的効果として、(@)卒業にたどり着くこと、(A)各人の評価向上、(B)慶應義塾大学通信教育部の社会的 評価の向上、(C)社会貢献、の以上4つが挙げられる。そしてこの確実卒業システムにしたがって、「4つの意識」を自分なりに活用することによっ て、卒業に必要な(正確には実社会においても有益であるが・・・)全体思考・プラス思考・オリジナリティを身につけることができる。近年難化傾向 にあるリポート・科目試験・スクーリング・卒業論文の対策にも十分役立つし、良質な塾員を生み出せるといったことが可能になる。このシステムを使 えば、「大学三流」と世界から評される日本の大学の体質改善に大きく寄与できると思う。日本経済の構造不況から脱却する1つのマーケティング戦略 ともとらえることができよう。特に、トヨタ自動車を初めとする大手企業・外資系企業にうちの会員が入社できれば儲け物である。それが確実卒業シス テムを考え出した本当の狙いである。ただ問題は、役員会の組織はどうあるべきかを考えないといけない、ということである。この点に関し、現代の数 多くの書籍を読むと、「フラットな組織こそが利益を生む」という見解が有力である(MBAの経営理論はそのように定義している)。という訳で慶友会に おける役員会はフラットであるべきで、老若男女一切差別しないことで、利益を生み出すことが可能になるのである(CD−ROM型人事システム)。

確実卒業システムに関してのご意見・ご感想は近藤まで お願いします。

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