合併法制の問題点を探るー日米の企業合併の実態よりー

近藤裕司


はしがき

現行の商法における合併の一連の規定は、明治44年に抜本的な改正が行われて以来、幾度も改正 がなされてきた。戦前はドイツ法の理論を反映させた条文が多かったが、戦後に入るとアメリカ法の影 響を受けるようになってきた。そのためか、合併法制を全体として見ると、雑然としていて、整合性に 欠けるという点が従来から指摘されていた。そこで、法務省の諮問機関である法制審議会がこの合併法 制の改正について、何度も審議を重ね、改正試案を作成しているが、まだ立法化するまでには至ってな い。そこで、私は現行の合併法制を概観して、その問題点を指摘した後、主にアメリカ会社法との比較 によって、あるべき会社立法を模索していこうと思う。

第1章では、合併手続の問題点を指摘するということで、合併の意義・法律的性質・具体的な手続内 容・効果について、一般論を述べながら、人格合一説の立場から現行の合併法制の立法論上の問題点を 指摘していく。

第2章では、日米における合併の実態について、目的・態様・特徴・歴史的概観といった、4つの観 点から比較をして、合併の実態から改善すべき部分について提言をなしていきたいと思う。

第3章では、アメリカ会社法(カリフォルニア会社法・デラウェア会社法・模範事業会社法)の合併 法制を概観して、現行の会社法に適用できるか否かについて、まず合併本質論の比較から始まり、次に 親子会社の合併、株主の保護、包括継承の是非ー債務超過の会社との合併は可能であるか、情報開示問題 ー合併比率は妥当であるか、といった観点から言及をしていきたいと思う。

第4章では、あるべき会社立法を展開するということで、合併手続の簡易化・合理化、少数株主保護 ー情報開示問題、債権者保護問題、計算の承継、労働契約の承継ー合併の際に従業員の意思は尊重される べきか否か、の4つの観点から提言をしたいと思う。

なお、この論文作成にあたり、本塾大学の法学部教授である宮島司教授にはテーマ選定から、内容の 検討、目次の構成などまで、あらゆる点でご指導を頂き、大変お世話になっている。改めて感謝の意を表 したい。

1994年11月

近藤裕司

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